おまえを しあわせで包む
どんなときも

おまえがかなしいとき
俺は、そばにいるよ

みちを、はずしたとき
俺は、そばにいるよ

なにかをわすれたとき
俺は、そばにいる

もう言葉がないんだよな
愛してるとか好きとか
あいたいとか
あとはなんだろな

もうないや言葉は

おまえをかかえて歩けたら
だっこして歩けたら

俺はきみの黒いリュックだ
ポケットがいっぱいついていて
機能的でスマートだ

きみが着るパーカー姿
スニーカーを履いている姿
あとはなんだ?
化粧をしていないお前の顔
あざらしみたいな顔
好きなんだ
だらしないお前を
部屋に閉じ込めて飼いたい
おまえもそうされたいから
俺たちは違和感がないんだろな

うしろから抱きしめて
きみが仕事に行く時も
遊びにいくときも
ずっといっしょだ

ずっとずっといっしょだ

きみが病気なら
俺の中におなかのお薬も
頭痛の薬も入ってる

雨が降ったらわざわざ、
きみは打たれに行くけど
俺の中に傘は入ってる

お腹空いたら
なかに金平糖も入ってる
きみのすきな金平糖を
きみがこりこり、こりこり
食べるのをみて爆笑してる

過去など存在しない
未来など存在しない
あるのは、今だけだ

過去が痛いのか?
未来が不安なのか?
そんなものは、幻だ

今が幸せである今が
本のページに書いてあるだけだ

おまえは、栞ではないのか?
ああ、栞だ

栞はとどまる性質があるから
誰かの手で章をすすめる

栞はいじらしい
人の役に立つためだけに創られた

おまえは古き薔薇の香りの
インド刺繍の栞 白き蓮の花
美しいから 本になど
挟みたくないと皆思っているよ

そうかと思えば
おまえは巨大な女神
おまえの髪の毛に天が宿り
おまえの身体の上で
動物たちは安らぐ

私は下人
おまえに仕えている

そんなことは良いから
ほら おいで。