久しぶりの感覚に、身体がゾクリと反応する。
蒼汰さんの背中に腕を回し、ぎゅっとしがみついた。


「莉乃……中、熱いな」

「んっ……そんなこと言わないで」

「ごめん、止められないわ……」


耳元でそう言った蒼汰さんの動きがさらに激しくなって、私はその度に艶やかな声を漏らした。


もう、どうにでもなれ。
だって、これが最初で最後だもん。

私、決めたの。
このままずっと、蒼汰さんの奥さんではいられない。

昼間にお母様にお会いして、私では蒼汰さんの妻は務まらないということを思い知らされた。
だから、これが最初で最後ーー。


一筋の涙が、頬を伝う。
私の考えていることなんて知る由もない蒼汰さんは、「莉乃……可愛い」と言いながら、そのまま欲を放った。

汗ばんだ身体を密着させおでこにキスを落とした蒼汰さんは、「優しくできなくてごめん」と笑う。
ゴロンとベッドに倒れこんだ蒼汰さんは、私の髪を撫でながらそのまま眠ってしまった。


私は蒼汰さんが好き。今までも、これからもずっと。
けれど、その想いは一生胸に留めておかなければいけなさそうだ。


「一瞬でも、あなたの妻になれて幸せでした」


ぐっすりと眠っている蒼汰さんの頬にそっとキスをして、私も眠りに落ちた。