そしてそのまま私の腰に手を回し、自分の方へと抱き寄せる。あまりにも突然すぎる出来事に、心臓がドキドキと暴れ始めた。


「蒼汰、さん……?」

「久しぶりだよな、こうして2人でゆっくりできるの」

「え……はい、そうですね」


言われてみれば、そうかもしれない。
結婚する少し前から一緒に住んではいるけれど、なかなか時間が合わない。

私は基本マンションにこもっているけれど、蒼汰さんの帰りは遅い。
22時を回っていたり、ときには日を跨ぐときもある。

休日は救急外来の当番や当直でいない日が多く、結婚したけれど1人の時間が多かったのは確かだ。


「仕事、忙しいですか?」

「あぁ。けど、家に帰れば莉乃がいてくれる。そう思うと、頑張れるんだ」


そう言いながら蒼汰さんは私にグッと近づくと、唇に優しいキスを落とした。

驚いて目をまん丸にしていると、蒼汰さんがクスっと笑う。


「莉乃、可愛い」

「えっ……、そんなこと、ないです」


恥ずかしくて俯いたままいると、蒼汰さんが私の太もも辺りに手を入れて、ヒョイと身体を持ち上げた。
驚いて、思わず「きゃっ!」と言いながら、蒼汰さんにしがみつく。


「莉乃、ベッドルーム行こう」

「えっ!?」