タイミングよく蒼汰さんも洗い物が終わったようで「俺も入ってくる」と言ってバスルームへと向かっていった。

冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出して、ソファーに腰かけ、昼間の出来事を思い出す。

……やっぱり、私じゃ蒼汰さんの妻は務まらない。
お母様に、あんなに罵声を浴びさせられるなんて、思ってもいなかった。

もし……私が元キャバ嬢でなければ、認めてもらえたの?
生活がままならなくても、あのまま文房具の開発に携わっていればよかったのかな。


「……キャバ嬢なんてーー」


「やらなければよかった」と呟きかけたけれど、ミネラルウォーターと一緒に言葉を飲み込んだ。

それは違う。あのお店で仕事をしたことは、後悔していない。
だって、No.1になって頑張っていたもの。めぐみさんも支えてくれていたし、常連のお客様だってたくさんついた。

一生懸命頑張った証なのだから、後悔することなんてないんだ。


「莉乃、お待たせ」

「あ……早かったですね」

「そうだな。少しでも莉乃との時間を取ろうと思って」


そんなことを言いながらキッチンへ向かった蒼汰さんは、私と同じように冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。

リビングへと戻ってきた蒼汰さんは、当然のように私の横に腰かけた。