色々な思いが込み上げてきて、それが涙となり頬を伝っていく。
それからしばらくはなにも手に付かず、ベッドに潜り込んでひたすら涙を流し続けた。



「莉乃、ただいま」

「おかえりなさい」


その日の夜。
蒼汰さんがいつもより早く帰宅できるとメッセージを送ってくれて、私はベッドからゆっくりと起き上がった。

予定通り19時過ぎに帰宅した蒼汰さんは、キッチンで食事の支度をしている私の傍へとやって来る。


「いい匂い。今日はなに？」

「寒いので、クリームシチューを作ってみました」

「へぇ、すごいじゃないか。早く食べよう」


そう言って私の頭を撫でてから、洗面所へと手を洗いに行った蒼汰さん。

お母様が帰ってから、私は涙が枯れるほど泣いた。
これだけ泣いたのは、いったいどれくらいぶりだろう。

蒼汰さんからのメッセージ受信後、顔を洗いに行ったとき、目が真っ赤だった。
慌ててタオルで冷やしたけれど、泣いたこと、バレてないかな？


「お待たせ。手伝うよ」

「あ、ありがとうございます。じゃあ、サラダを盛り付けるお皿を取ってもらえます？」

「了解」


クルリと背を向けて、食器棚を開ける蒼汰さん。どうやら、泣いたことはバレていないみたい。
ほっと安心して温めたクリームシチューを器によそうと、カウンターに並べた。

それに気付いた蒼汰さんが「あったかいな」と言いながらテーブルに置いてくれる。