再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

学校で勉強する範囲内の学習内容なら余裕で理解できる。
まぁそれは多分、今まで習ってきたことの積み重ねで、どことなく聞いたことのある言葉とかが並べられているから。

でも、これはまた別。
まったく初めて触れる内容と言葉。

自分が病院を受診したときに何食わぬ顔で医療事務をこなしている人たちは、もう私からしてみれば神だ。
ドクターやナースが頻繁に使うであろう医療用語もしっかり理解していなければならないだろうし、これは並大抵ならぬ努力が必要な気がする。

まだ参考書を広げて30分も経っていないのに、慣れない言葉に疲れた私は、椅子にもたれかかり天を仰いだ。


「はぁ……できるかな、こんなの」


蒼汰さん、今頃なにしてるんだろう。

ふと思い浮かんだ、蒼汰さんの顔。
最近はとても忙しそうで、夜帰宅するのも22時を回ってから。

料理本を見ながら作った料理も冷めてしまうことが多くて、電子レンジで温めて食べることが多い。
帰りの時間をメッセージに入れてくれるからそれに合わせて作っているつもりでも、なかなか上手くいかないのが現状だった。

料理は上達しつつある。
でも、作り立ての食事を口にしてもらったことはまだ少ない。


「今日はなに作ろうかな……」