再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

一瞬お母様かとも思ったが、さっき海外旅行中だと言っていたっけ。
それに、先輩のことを「蒼汰さん」と呼んでいたとうことは。

まさか、お手伝いさん？


「莉乃。こちらはお手伝いさんの松林さん。外来中は、家事や庭の手入れをしてくれているんだ」

「は、初めまして。西野莉乃です」

「俺の婚約者」


付け足すようにそう言ってくれた高森先輩に、顔が熱くなるのがわかる。

大きく目を見開いて「あら、そうだったの！？」と驚いている松林さんの顔は、とても嬉しそうだ。
なんとなく、胸の辺りがくすぐったい。


「あらまぁお綺麗な方で……私も嬉しいです。よろしくお願いしますね」

「あっ……こちらこそ。お世話になります」


腰を深く折ってあいさつをしてくれた松林さんに釣られて、私も深々と頭を下げた。

玄関先で挨拶を交わしていると「蒼汰か」という低くて太い声とともに、リビングから男性が出てくる。
貫禄のあるその姿に、すぐに先輩のお父様だということを理解した。


「父さん。ただいま帰りました」

「あぁ……待っていたよ。こんなところで立ち話していないで、リビングに入りなさい」


軽いあいさつを言う暇もなく、リビングへと促された私たち。
松林さんが準備してくれたスリッパをに足を通し、ゆっくりと中へと入る。