再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

ぽんっと私の肩を叩くと、にっこり笑顔を見せてくれる安達さん。

そうは言っても、これがデートの誘いなのかはまだ不明。
なんとなくモヤモヤした気持ちを胸に抱え込みながら、午後の仕事が始まった。


* * *

そして土曜日。
休日ということもあって、受付開始と同時にバタバタと忙しかった。

平日は仕事で受診できない人や、学校の授業があって土曜日しか受診ができない学生が多く見られる。
それに加えて半日しか診療時間がなく、それがさらにクリニックを忙しくさせていた。

なので、土曜出勤の半日はあっという間に過ぎてしまう。
今日も発熱で受診した患者さんのほとんどが流行中の感染症で、処置室もずっと慌ただしかった。

壁に掛かっている時計に何気なく視線を移すと、時刻は11時25分を指している。
受付時間終了まであともう5分。その後は、優太先生との約束だ。


「西野さんごめん、カルテお願い」

「あ、はい。……大野さん、ですね。探して持っていきます」


看護師さんから声を掛けられ我に返った私は、頼まれた患者さんのカルテを診察室まで運ぶ。

診察室は2診。優太先生がいる診察室だ。
昨日のお誘いのこともあって変に意識してしまう私は、ドアの前で深呼吸をしてからドアを開けた。