カマイユ~再会で彩る、初恋



二日前、『下着が可愛くないから、今日はダメですっ』と、目に涙を溜めて訴えられてしまった。

突然の泊まりに、準備万端でないのは当たり前で。
恋愛に謳歌してるであろう二十代の女の子が、花火とお酒とお泊りというムードに流された男にがっつかれて、ショックなのは当然か。

キスしてる時や触れてる時は感じるようにびくんと体を震わせていたのに。
あの時は、ビクッと完全に拒絶反応を起こしていた。

体は正直だ。
雰囲気で無理やり押し流すこともできたけれど、彼女だけは大事にしたくて。
彼女が嫌がることは一つとしてしたくない。

キスは許せても、体はまだ許せないレベルなのだろう。

そりゃあそうだよな。
恩師が恩師でなくなり、知り合いの男から彼氏的なポジションにまで昇格したのだってついこの間。
この関係性だってまだ一カ月くらいしか経ってないのに。
焦りすぎたな……。

あまりにもキス心地が良すぎて、脳内が麻痺してた。
時間が経って、自分がとった行動が幼稚すぎていた事に今さら気づく。

もっと大事に、もっとじっくりと距離を詰めたっていいのに。

『先生』と呼ばれる度に焦る自分がいる。
渡瀬や萩原は名前で呼ばれてるのに、恩師と教え子という関係性が一線を引いているようで焦らされる。

嫌われるくらいなら我慢なんて幾らでもできる。
もう何も無かった頃には戻れないんだから。

サラッと何事ともなかったように、何が食べたいか尋ねるメールを送る。
乗務日の今日は、退勤するまでスマホは開かないはずだから、送るだけ送っておけば……。

帰宅後にリビングの一角でキャンバスに向かう。
彼女と再会したあの日から描きたい衝動に駆られ、十五年ぶりくらいに人物画を描いている。