あの時、ヘルプメールを佳歩ちゃんに送って、自分の中で消化しようと思ったんだけど。
結局、理想の恋愛像を当てはめてしまった。

もう子供じゃないんだから、ムードに流されて抱かれればよかったのかもしれない。

「例えばですよ?……そのイケメン教師の本当の素の顔は、めちゃくちゃ変態チックな性癖の持ち主だとか、意外と淡泊でなかなかその気にはならない。なったはいいが、数分で完了するような即席プレイの人だったらどうします?それでも、好きでいられます?」
「……そんなの分からないよ」
「同じですよ、相手だって。下着やその時のムードだとかで完璧に先輩の理想をクリアするかだなんて、人それぞれですし。落ち込んでる暇があったら、フォローメールでも送って、ちゃんと話し合った方がいいですよ」
「……ん」
「要はしたいか、したくないかで、できるか、できないかの問題じゃないんです。どんな人であっても、したいならしたいって伝えなきゃ、ちっとも関係性は進展しないですよ」
「……うん」
「たぶん、下着なんて理由の一つにすぎなくて。……拒絶されたと今思ってるはずです。そこはちゃんとフォローしておかないと後悔しますよ」
「……そうだね」

一つ下なのに、佳歩ちゃんは本当に頼りになる。
千奈の方が付き合いは長いし、私の色んなことを知ってるけれど、共通の『先生』だから言い難いこともある。
信用してないわけじゃない。
何となく、同じ目線にいる同じ教え子という立場なのに、自分だけ『女』として先生に思われてるじゃないかということが照れくさくて。

「それにやっぱり、『好き』って言われたいんだよね」
「まだ言われてないんですか?」
「……うん」
「態度でも……?」
「う~ん、たぶん好かれてるとは思うんだけど…」