カマイユ~再会で彩る、初恋



「先生、そのまま置いといて下さい」
「いいよ、気を遣わなくて」
「泊らせて貰う代わりに洗い物くらいさせて下さい」

二十一時を過ぎ、花火も終わり、ベランダから食器類を片付けている。
残りものにラップをかけて冷蔵庫にしまってると、シンクに下げて来た食器類を洗おうとする先生。
大抵の男性なら下げて終わりなのに。
こういうさりげない行動にきゅんとしてしまう。

昔から先生は行動に隙がない。
常に次の行動を予測しているのか、声をかけようとする傍からささっとこなしてしまう。

ビール缶を水で濯ぎ、ダストボックスに片付けている先生を視線で追う。
自立した男性って、やっぱり魅力的だ。

隆なんて、小言を言わなきゃすぐにゴミだらけになるし、父も片付けは得意じゃない。
唯一、佑人は綺麗好きだから口を挟まなくても片付けくらいは出来るけれど、先生みたいに料理はできない。
そう考えると、やっぱり先生はパーフェクト人間に思える。

洗い物を片付け、シンク周りを拭き上げしていると、先生のスマホが鳴った。
無機質な初期設定の音が先生らしくて、思わずにやけてしまう。

「どうした?……ん、……あぁ、……ん?いや、……ん~」

『もしもし』ではない返答の仕方にちょっぴり違和感を覚えながらも、表情が素の先生なのが安心材料のようなもので。
友達からの電話なのかな?だなんて、勝手に想像してしまう。

「五十嵐、悪い。ちょっといいか?」
「はい?」

スマホに人差し指が当てられ、申し訳なさそうにスマホを差し出された。

「この前話した、バーの」
「……あっ、はい」
「五十嵐と話させてくれって」
「え?」