カマイユ~再会で彩る、初恋



「……っん…せぃ」

俺のTシャツを掴む手にぎゅっと力が入る。
とうとうキスしてしまった。
あまりにも至近距離に好きな子がいたら、男なら誰だってキスしたくなる。

けれど、せめてもの救いなのが、俺のキスを拒絶しなかったということ。
雰囲気に流されただけかもしれないが、それでもちゃんと応えるようにしてくれたことが何よりも嬉しくて、思わず破顔してしまう。

「ごめんっ、……無理やりしたけど、嫌じゃなかったか?」

俺はどこまでも卑怯なんだろうか。
恥ずかしく間抜け面を隠すように顔を背け、更には半強制的に肯定せざるをないような聞き方で彼女の気持ちを確かめようとしている。
『つい、したくて』と素直に言えばいいものを。

彼女からの反応にびくびくしながら、動揺する鼓動を宥めていると、トンッと肩に重みを感じた。

「もぅ、……終わりですか?」
「……へ?」

重みを感じた箇所に視線を向けると、彼女のおでこが寄せられていて、絞り出すような声が漏れて来た。

「そんなこと言うと、襲われても文句言えないぞ?」
「……嫌だったら、ここに来てませんよっ」
「っ……」

恩師からメッシー君(昔よく使われていた言葉で、食事に連れて行ってくれる男性のこと)的存在に格上げしたとは思ってたが、もしかしてもう少しレベルアップを期待してもいいのだろうか?
いや、この展開からしたら、確実にそれ以上だと捉えてもいいのか?

酒を誘ってOKを貰えた時点で、全て許可されたと思っていいってことか?
……俺、夢を見てるんじゃないだろうか。