カマイユ~再会で彩る、初恋



嗅ぎ慣れない香りに違和感を覚えて瞼を押し上げる。

「ここって……」

そういえば、昨日先生の家に泊ったんだった。
一週間ぶりのデートで舞い上がった私は、乗務疲れとアルコールが入ったこともあって、完全に寝落ちてしまったようだ。

カーテンの隙間から差し込む陽の明るさで、既に結構陽が高いのだと気付く。
辺りを見回し、壁掛け時計で時間を確認すると、既に九時になろうとしていた。

……もう仕事に行っちゃったんだ。
当然ながら、シーツの上に手を彷徨わせても先生のぬくもりなんてどこにもなくて。
せっかく先生が『泊ってくか?』って言ってくれたのに……。

自分の不甲斐なさに溜息が零れる。

上半身を起こして、ベッドから出ようとした、その時。
サイドテーブルの上に一枚のメモが置かれていることに気付く。

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おはよう
今日は半日研修だから
昼には終わるから待ってて
一緒にお昼ご飯を食べよう
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十年ぶりに先生の達筆な字を目にした。
少し気難しそうで冷たそうに感じる整った文字。
だけど、誠実さも伝わってくるようなきちっと書かれた字列に、思わずクスっと笑みが零れる。

「先生らしい…」

先生からは待ってるように言われても、さすがに同じ服という訳に行かないし、メイクもちゃんとしたい。
今から自宅に帰ってシャワー浴びて準備すれば、お昼までには十分間に合う。

「よし、帰ろうっ!」

『着替えに自宅に帰るので、終わったら連絡下さい』と先生にメールを入れて、自宅へと向かった。