カマイユ~再会で彩る、初恋


味のしみ込んだバクテーを頬張りながら、佳歩ちゃんが口を開く。

「明日の夜」
「フライト後ですね」
「……ん」

国際線のフライト翌日は基本休日になっているから、フライト後に会う約束をしている。

「ご飯食べたら、そのままお泊りしちゃえばいいじゃないですか」
「……向こうはそんな気ないと思う」
「分からないですよ?食事して、そのままホテルに直行だったら?」
「そんな人じゃないよ」
「だ~か~ら~、そういう固定観念だから、ちっとも前に進まないんですよ。少しは進展するように色仕掛けしたって全然大丈夫ですからね?」

やれやれ的に溜息を吐かれた。

「他の人に取られたくなかったら、自分からホテルに誘ったっていいんですよ?受け身でいるだけが正しいとは限らないんですからね?」
「……ん」
「先輩はもう少し積極的に態度に示さないと」
「……」
「あのイケメン銀行マン、何て名前でしたっけ……」
「……佑人?」
「あーそうそう、その人!私だったらあんなフルスペックなイケメン、放っておかないのに」

佳歩ちゃんに合コンをセッティングしてくれと頼まれ、一年ほど前に佑人と彼の職場の人と合コンをした。
CAと外資系の銀行マン。
佳歩ちゃん好みのハイスペックなイケメン君を紹介してくれて、合コン自体は結構上手くいった方だ。

「私が散々色目使っても、全くと言っていいほど靡かなかったし。あんなに一途な人、珍しいですよ?」

佳歩ちゃんの目にもそう見えるんだ。
千奈に嫌というほど言われていて、ここ何年かは少なからず意識したりもしている。

「佑人がダメなんじゃないんだよね。……先生が、特別なんだと思う」