月光に照らされた先生の体は艶めかしくて、視界を覆いたくなる。

程よく盛り上がった三角筋も大胸筋も素晴らしいけれど、何より見事に割れている腹筋。
俗にシックスパックと言われるが、よく見ると先生のそれはエイトパックみたいだ。

三十歳過ぎてからジム通いを週一、二ペースでしていると言っていたけれど、相当やり込んでるんじゃないかな。
何度かお姫様抱っこして貰ってるけど、軽々と抱き上げれるのも納得だ。

初めてではないし、行為自体の流れも知っているはずなのに。
どうしてだろう。
自分の体が自分のものではないと思えるほど、彼から与えられる刺激が強すぎて、快楽の痺れが体を何度も貫く。

もう何度目か分からなくなるほど、悦楽の波にのみ込まれていった。


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意識が遠のく度に連れ戻され、覚えてられないほどの甘い言葉と刺激に翻弄される。

「……ぁっ…きとさんっ、……もぅ、ダメッ…」

体に力が入らず、声を出すのも精一杯。
ぎゅっと抱きつきたいのに、それすらもできる力が残ってない。

視界に映る彼をぼんやりと見つめるだけ。
呼吸すら整えさせて貰えず、既に全身筋肉痛のような違和感すらある。

「そうやって煽るから、止められないんだよ」
「ひぇっんんんん~~~っっ」

ぼそっと呟いた彼は、悪戯が成功したかのように目元を細めて微笑し、容赦なく唇を重ねて来た。

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レースシェード越しに月明かりが差していたのに、すっかり陽が昇ってるようだ。
眩しい陽の光で目覚めた私は、彼の腕の中から這うように抜け出し、彼の眠りを妨げないようにドレープシェードを下ろす。

ベルガモットとレモンの香りに包まれて目覚めた朝は全身倦怠感が拭えないけれど、甘い余韻がまだ残っている。