♦
彼女の年収よりも遥かに高価な指輪。
すんなりと受け取るような子ではないのは分かっているけれど。
どうか、受け取ってくれ。
気軽に手にできるような安価な指輪でもよかったのかもしれないけれど、一生に一度のプロポーズだから。
妥協も諦めも後悔もしたくなくて。
教職を辞めると決めた次の日に、本店に連絡を入れ、フルオーダーした。
サイズは彼女が寝ている間にこっそりと調べて、デザインは数か月も費やした。
もしかして『結婚を白紙にしたい』だなんて、言い出さないよな?
「茜?」
「あ、あのっ……」
「ん?」
「箱だけ貰うんじゃ、……ダメですか?」
「へ?」
「あまりにも高価すぎて、空き巣や強盗とかひったくりとか、考えるだけで恐ろしくて」
「………フッ、何だよ、それ」
本当に茜は、俺の期待を裏切らないというか。
想像の右斜め上辺りを駆け抜けてく。
「ってことは、白紙にしたいってわけじゃないんだな?」
「へ?……あっ、はい、それはもちろんっ!」
嬉しそうに両手で照れを隠しながら、頷いてくれた。
承諾貰えたんなら、こっちのもん。
「えっ、ちょっ……っっっ」
口元を覆う左手を無理やり剥がし、その薬指に有無を言わさず嵌めた。
「フルオーダーだから、もちろん返品不可だし、質屋に入れたらすぐ足がつくぞ」
「ッ?!!!」
しようと思えばいつでもできた。
けれど、何の約束もできない男が、簡単に手を出せるはずもなく。
『教え子』というだけでも、手を出してはいけない存在なのに。
倫理とか道徳とか理性とか。
いちいち考えてたら、何もできなくなってしまいそうで。
だから、贈り物に見合う男になろうと考えた。
自らハードルを上げ、絶対に後ろ指さされたり後悔させないように。
「連れてっていい?」
「っっ……はぃ」
彼女の年収よりも遥かに高価な指輪。
すんなりと受け取るような子ではないのは分かっているけれど。
どうか、受け取ってくれ。
気軽に手にできるような安価な指輪でもよかったのかもしれないけれど、一生に一度のプロポーズだから。
妥協も諦めも後悔もしたくなくて。
教職を辞めると決めた次の日に、本店に連絡を入れ、フルオーダーした。
サイズは彼女が寝ている間にこっそりと調べて、デザインは数か月も費やした。
もしかして『結婚を白紙にしたい』だなんて、言い出さないよな?
「茜?」
「あ、あのっ……」
「ん?」
「箱だけ貰うんじゃ、……ダメですか?」
「へ?」
「あまりにも高価すぎて、空き巣や強盗とかひったくりとか、考えるだけで恐ろしくて」
「………フッ、何だよ、それ」
本当に茜は、俺の期待を裏切らないというか。
想像の右斜め上辺りを駆け抜けてく。
「ってことは、白紙にしたいってわけじゃないんだな?」
「へ?……あっ、はい、それはもちろんっ!」
嬉しそうに両手で照れを隠しながら、頷いてくれた。
承諾貰えたんなら、こっちのもん。
「えっ、ちょっ……っっっ」
口元を覆う左手を無理やり剥がし、その薬指に有無を言わさず嵌めた。
「フルオーダーだから、もちろん返品不可だし、質屋に入れたらすぐ足がつくぞ」
「ッ?!!!」
しようと思えばいつでもできた。
けれど、何の約束もできない男が、簡単に手を出せるはずもなく。
『教え子』というだけでも、手を出してはいけない存在なのに。
倫理とか道徳とか理性とか。
いちいち考えてたら、何もできなくなってしまいそうで。
だから、贈り物に見合う男になろうと考えた。
自らハードルを上げ、絶対に後ろ指さされたり後悔させないように。
「連れてっていい?」
「っっ……はぃ」



