俺のパジャマを抱きしめ、薄っすらと頬に涙の痕まである。
俺の不在の間、寂しかったのだろう。
メールや電話では『寂しい』だとか、『逢いたい』だなんて我が儘を一度だって言わなかったのに。
こんな風に過ごしている姿を目にしたら、胸が締め付けられる。
今日帰国すると連絡してないのに。
俺が帰って来るのを感じ取ったのだろうか?
彼女のすぐ横にしゃがみ込み、そぉ~っと頭を撫でる。
二週間ぶりに触れた彼女の髪は相変わらず柔らかくて、ちょっぴり甘めなフローラルな香りがする。
センターテーブルの上には発泡酒の空き缶と飲みかけのグラス。
それと、お揃いのグラスに注がれたものがもう一つ。
俺がいなくても、一人で乾杯でもしてたのだろうか。
そんな可愛らしい彼女が思い浮かび、クスっと笑みが零れた。
ベッドに運ぼうと抱き上げた、その時。
「んっ……せん……せぃ?」
「ただいま」
寝ぼけているのか、俺の顔をまじまじと見つめている。
「……ん……えっ?!」
「起こしてごめんな」
「え、えっ、……先生っ、何でいるんですかッ?!」
「今帰って来たとこ。……ただいま」
「ッ?!!」
寝室のベッドの上にゆっくりと下ろすと、目に涙を浮かべて抱きついて来た。
「お帰りなさいっ!!」
「仕事が早くに終わったから、驚かそうと思って帰って来たのに、俺の方が驚かされたよ」
二カ月ぶりの抱擁は、何とも言葉にし難いほどの幸せに満ち溢れる。
「少しの間、寝ないで待ってられるか?」
「あ、はいっ」
「シャワーだけ、浴びて来る」
「あっ、じゃあ、私も洗面所に。歯磨きします!」
「ん」



