カマイユ~再会で彩る、初恋


「照明、落としますね?」
「ん」

二部屋分くらいある広い寝室。
ベッド脇のフットライトのみにして、先生がいるベッドへと。
掛け布団とシーツの狭間に体を滑り込ませると、いつも先生の長い腕がスッと伸びて来る。

何も言わず、優しく抱き寄せてくれる。
このぬくもりは、もう手放せそうにない。

Tシャツ越しに伝わる先生の体温と鼓動。
凄く心地よくて、温かいぬくもり。

「茜」
「……はい」
「全く会えなくなるわけじゃないから」
「…はい」
「年度末で退職するまでは二足の草鞋状態になるが、一日も早く引き継ぐから」
「はい」
「だから、少しだけ待っててくれないか?」

やっぱりそうだ。
新しい仕事が落ち着くまで、少し我慢してくれってことらしい。
本当に不器用な人なんだから。

「先生」
「ん?」
「そんなこと、全然気にしなくていいんですよ?」
「……」
「だってこの十年、こんなに幸せな日が来るだなんて思いもしなかったですから」
「へ?」

力のない声が漏れて来た。
『十年前からずっと』という意味を込めたのが伝わっただろうか?

「先生のこと、ずっと好きだったので」
「っ……」
「気づきませんでした?毎日のように、先生を目で追ってたんですけど」
「っっ……」

ちょっと意地悪してしまった。
だってプロポーズ的なことをするけど、今はできないから保留にしてくれってことだもん。
期限が分からない状態でのおあずけ喰らう立場からしたら、ちょっとくらいは捻くれたって罰は当たらないでしょ。

「彼氏がいた時も、俺のこと忘れなかったのか?」
「もちろんっ!ってか、忘れたくて彼氏つくってたようなものですから」
「っ……」