カマイユ~再会で彩る、初恋



「すっかり酒が不味くなったな」
「……大丈夫ですよ」

リビングへと戻った私たちは再びお酒を口にしたが、すっかり味が分からなくなってしまうほど、雰囲気が淀みきってしまった。

けれど、胸の中の不安を一蹴するかのように、先生の態度はとても優しくて。
先ほどの言葉は、『別れ』を意味するものではないのかな?と思える。

仕事を辞めて転職し、暫く仕事に専念するから。
……そういう意味合いなのかもしれない。

先生はカッコいいし素敵だけれど、ちょっと言葉が足りない気がする。

デートに誘われた時も、付き合い始める時も。
何だか微妙で曖昧な空気感が否めない。

ズバッとバシッと言ってくれた方が伝わるのに。
そういうことを言えない性分なのかな……。

「そろそろ、……寝るか?」
「……そうですね」

既に0時を回ろうとしていて、国際線帰りの私は多少の時差ボケもあって体が怠い。
仕事柄慣れているとはいえ、ちょうどあの日から一カ月が経とうとしていて、そろそろ生理になってもおかしくない。
不規則な生活をしているせいか、生理も不順気味だから、カレンダー通りでもないんだけれど。

テーブルの上のビールやおつまみを片付け、寝る準備をする。

「先に部屋に行ってるな?」
「……はい」

先に歯磨きを終えた先生が声をかけて来た。

なんだかんだと、未だに先生とは清い関係のまま。
しようと思えはできたと思うけれど、少し前からポルトガル語(南米アメリカ行きのフライトの為)の会話教室にも通い出したから、先生とゆっくり過ごす時間が少なくなってしまって。
今日こそは……と思っていたけれど、そんな雰囲気じゃない。