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大きなキャンバスに淡い色彩で描かれた絵に、たくさんの先生の想いが込められている。
それをうっとりと見惚れていると、突然のプロポーズ的な言葉に心臓を射抜かれたんじゃないかと思うくらいドキッとした。
あまりにも不意打ちすぎて……。
一瞬で別世界に引き込まれた気がした。
有名な画材メーカーの芦田が、先生のお爺様の会社だと聞かされた。
しかも、日本の美術界を牽引するような財団法人まであるという。
よくよく考えれば、納得だ。
長野のあの別荘もそうだし、このマンションもそうだ。
都内でも一等地の、しかも高級タワマンの上層階。
それに私立校の教職という給料で乗るような車じゃない。
どう考えてもセレブすぎる。
不思議に思えていたことがピタッと合わさるように嵌った途端、急に不安が押し寄せてくる。
『茜とこれからの人生を歩みたいと思ってるから』と言われても、すんなりと消化しきれない。
会社も財団も引継ぎ、多くの人間の生活を支える人物となる人に、一体私に何ができるというのか。
何の知識もない、しがないただのOL。
CAという職が手についているとはいえ、先生の力になるためのものではない。
もしかして、別れたいということなのだろうか?
もしそうだとするなら、一日も早い方がいいのだろうけど。
そんなこと急に言われても、心の整理がつかないというもの。
「別れるつもりはないよ。むしろ、その逆」
「……え?」
「さっき言った通りだよ。今はちゃんとしたことを言ってあげれないけれど、仕事が落ち着いたら……きちんと俺の口から言わせて欲しい」
「それって……」
「……ごめん、今は何も聞くな」
先生は少し心苦しそうな表情で私を抱きしめた。
大きなキャンバスに淡い色彩で描かれた絵に、たくさんの先生の想いが込められている。
それをうっとりと見惚れていると、突然のプロポーズ的な言葉に心臓を射抜かれたんじゃないかと思うくらいドキッとした。
あまりにも不意打ちすぎて……。
一瞬で別世界に引き込まれた気がした。
有名な画材メーカーの芦田が、先生のお爺様の会社だと聞かされた。
しかも、日本の美術界を牽引するような財団法人まであるという。
よくよく考えれば、納得だ。
長野のあの別荘もそうだし、このマンションもそうだ。
都内でも一等地の、しかも高級タワマンの上層階。
それに私立校の教職という給料で乗るような車じゃない。
どう考えてもセレブすぎる。
不思議に思えていたことがピタッと合わさるように嵌った途端、急に不安が押し寄せてくる。
『茜とこれからの人生を歩みたいと思ってるから』と言われても、すんなりと消化しきれない。
会社も財団も引継ぎ、多くの人間の生活を支える人物となる人に、一体私に何ができるというのか。
何の知識もない、しがないただのOL。
CAという職が手についているとはいえ、先生の力になるためのものではない。
もしかして、別れたいということなのだろうか?
もしそうだとするなら、一日も早い方がいいのだろうけど。
そんなこと急に言われても、心の整理がつかないというもの。
「別れるつもりはないよ。むしろ、その逆」
「……え?」
「さっき言った通りだよ。今はちゃんとしたことを言ってあげれないけれど、仕事が落ち着いたら……きちんと俺の口から言わせて欲しい」
「それって……」
「……ごめん、今は何も聞くな」
先生は少し心苦しそうな表情で私を抱きしめた。



