「……え、……はっ?じゃあ、運ぶのが面倒で、港区の一等地にあるタワマンの上層階の部屋を倉庫代わりにしてるってことですか?!」
「まぁ、そうなるな」
「どうかしてますって!!先生、病院行った方がいいですよ!」
「フフフッ、まっ、普通はそう言うわな。祥平にもキチガイ呼ばわりされてるし」
隠しても仕方のないことだから話したけれど、やっぱり呆れるよな。
「映画やドラマの中の世界だと思ってました。……いる所にはいるんですね」
「……嫌いになったか?」
恐る恐る視線を向ける。
金銭感覚が違うというのも、別れる理由の一つに挙げられるから。
「込み入ったこと聞きますけど、今の仕事してて、ちゃんと貯金してます?」
「貯金?……勿論、してるけど。……何で?」
「いやだって……、それだけお金に困ってなかったら、株とかFXとかガンガンにしてそうなので」
「株はしてるけど、配当目的というより、付き合いで買ったようなものしかないよ」
「……すみません。想像の域を超えていて、脳に酸素が必要みたいです」
『ちょっと待って!』みたいに手を上げ、頭に両手を当てながら部屋の中を歩き始めた。
そんな姿でさえ、可愛いと思ってしまう。
「話を纏めると、お爺様の会社が画材メーカーの芦田で、財団も元はお爺様のもので、教職を辞めてそれらを引き継ぐ……で、合ってますか?」
「うん、合ってるよ」
黒々とした大きな瞳が真っすぐ見つめて来る。
本当に綺麗な瞳だ。
「それで?……私はどうすればいいんですか?仕事を辞めろってことですか?それとも、別れたいってことですか?」
「どうしてそうなる。そんなことは一言も言ってないだろ」



