*
「先生って、眼鏡かける時がありますよね?」
「……ん」
「普段はコンタクトなんですか?」
「いや、裸眼でも普通に見えるよ」
「え?」
「パソコンする時はブルーライトカット用の眼鏡するようにしてるだけ」
「そうなんですね」
テラスで心地いい昼下がりを満喫する。
サラダや付け合わせとスープも仕込み済で、あとは弱火で煮込んでるシチューが出来上がるのを待つばかり。
アフタヌーンティーを楽しむ彼女を筆で描く。
『絵を描いている先生が見たいです』という彼女の願いを叶えるために、緑一色の濃淡で描く。
風景の中に溶け込むようなものですら、人物を描こうとは思わなかったのに。
彼女だけはやっぱり特別らしい。
幾ら描こうとしても上手く筆が動かなかったのに、今はこうしてスムーズに色が乗る。
むしろ手が描きたいと疼くほど、楽しくて仕方ない。
彼女のおねだりは『絵を描くところ』だろうから、別に人物画を描かなくてもいいのだろう。
けれど、木々に吸い込まれそうなほど美しい微笑みを浮かべる彼女から視線が逸らせない。
ゆったりとした時間。
季節の移ろいと共に流れるひととき。
彼女との初めてのバカンス。
他愛ない会話。
何気ないやり取り。
その全てに幸せを噛みしめる。
*
長野県でも南西部に位置するここは標高が高く、この季節だと夜になるととても過ごしやすい。
お互いに入浴を済ませ、テラスで夕食をすることにした。
冷やしておいたワインと煮込んだビーフシチュー。
サラダやスープなどもテーブルに乗せ、彼女とワイングラスを傾ける。
「このワイン、美味しいですねっ」
例えワンコインのワインであっても、彼女の笑顔があればヴィンテージワインに早変わりしそうだ。
「先生って、眼鏡かける時がありますよね?」
「……ん」
「普段はコンタクトなんですか?」
「いや、裸眼でも普通に見えるよ」
「え?」
「パソコンする時はブルーライトカット用の眼鏡するようにしてるだけ」
「そうなんですね」
テラスで心地いい昼下がりを満喫する。
サラダや付け合わせとスープも仕込み済で、あとは弱火で煮込んでるシチューが出来上がるのを待つばかり。
アフタヌーンティーを楽しむ彼女を筆で描く。
『絵を描いている先生が見たいです』という彼女の願いを叶えるために、緑一色の濃淡で描く。
風景の中に溶け込むようなものですら、人物を描こうとは思わなかったのに。
彼女だけはやっぱり特別らしい。
幾ら描こうとしても上手く筆が動かなかったのに、今はこうしてスムーズに色が乗る。
むしろ手が描きたいと疼くほど、楽しくて仕方ない。
彼女のおねだりは『絵を描くところ』だろうから、別に人物画を描かなくてもいいのだろう。
けれど、木々に吸い込まれそうなほど美しい微笑みを浮かべる彼女から視線が逸らせない。
ゆったりとした時間。
季節の移ろいと共に流れるひととき。
彼女との初めてのバカンス。
他愛ない会話。
何気ないやり取り。
その全てに幸せを噛みしめる。
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長野県でも南西部に位置するここは標高が高く、この季節だと夜になるととても過ごしやすい。
お互いに入浴を済ませ、テラスで夕食をすることにした。
冷やしておいたワインと煮込んだビーフシチュー。
サラダやスープなどもテーブルに乗せ、彼女とワイングラスを傾ける。
「このワイン、美味しいですねっ」
例えワンコインのワインであっても、彼女の笑顔があればヴィンテージワインに早変わりしそうだ。



