「佑人は入って来なよ」
「ん~、……もう少ししたらな」

相変わらず、佑人は優しい。
イケメンだし高給取りだし気遣い上手だし長身だし、デメリットが何一つないのに。
なんで何年も彼女を作らないのだろう?
隆ほどではなくても遊びたい盛りだと思うし、彼女がいた方が楽しいだろうに。

BBQ用のグリルや炭などをテラスに出していると。

「茜、なんかイキイキしてんな」
「え、……そう?」
「うん、なんか表情が明るい」
「……あっ、そうかも。職場で今度、キャンペーンの担当に抜擢されて、今仕事が楽しいから」
「へぇ~、そうなんだ。よかったな」
「うん」

そんなにも顔を出てるんだろうか?
千奈には『恋して綺麗になったね』と言われた。
仕事も順調だし、先生との恋も順調だから毎日が楽しくて仕方ない。

「茜~っ、見てみて~すっげぇ量だよっ」
「ん?……どうかした?」
「あいつ、大量の酒用意して来てる」
「ホント?」
「あぁ、到着するなりキッチンに行ったから何かと思ったら、すげぇ量」

部屋の中から佑人の声がして、彼の元にいくと、冷蔵庫にびっしりと大量のビールやカクテルが埋め尽くされてる。

「お肉とかはどこにあるの?」
「あー、それならクーラーボックスに」

キッチンの脇にあるクーラーボックス二つを開けると、大量のお肉が入っている。

「魚介類は夕方に届くって」
「え?」
「ってか、これ食べきれんのか?」
「フフッ、どうだろう?」

佑人と視線を合わせて、クスっと笑みが零れた。

「そう言えば、馬鹿デカいスイカを積み込んでたから、スイカ割りする気だよ、あいつ」
「あーそれね、千奈がやりたいって言ったんだよ」