キミとの距離が、縮まらない。



「ぎゃーーー!」


ドンッ!バタバタッ!


原口さんの叫び声がまた聞こえてきた。


私と長谷川くんは、思わず目を見合わせてクスクスと笑い合った。


「よし、出口まで一緒に行こ!」


私にメガネをかけてくれた後、長谷川くんが言った。


「え!?お化け役は?」

 
「澪菜を出口まで送ってからまた戻るよ。」


そう言って、長谷川くんは白い布を取り、私の手を握って通路を歩き出した。


私より大きな手。


長谷川くんが、いつもより近くにいる。


それに『澪菜』って、名前で呼んでくれる。


幸せで、胸がいっぱいになった。


出口に辿り着くまで、お化けに驚くドキドキよりも、長谷川くんと手を繋いでいるドキドキの方が大きく感じた。


出口を出ると、原口さんと山本さんが待ってくれていた。