キミとの距離が、縮まらない。


――な、何!?


「あれっ!?みおなんは?」


原口さんの声が少し先の方で聞こえる。


その声とは反対の方向に、私は口を塞がれたまま連れて行かれ、通路の影に連れ込まれた。


「ごめん、びっくりした?」


見上げると、白い布の隙間から、長谷川くんの顔が見えた。


「長谷川くん!手加減するって言ってたのに…もう!」


小さな声で思わず抗議すると、長谷川くんはクスクス笑いながら、ごめんごめんと言った。


「さっきの話の続きが気になりすぎて。ちょっとだけ話したくて。」


――さっきの話…


すると長谷川くんは、被っていた白い布を私にも被せてきた。
狭い空間の中、2人で向き合う。


目が慣れてきて、長谷川くんの綺麗な顔立ちがはっきり見えた。


心臓がドキドキと脈打ってる。


「…俺たち、両想いだって思っていい?」


「…うん。」


私がゆっくりと頷くと、長谷川くんはすごく嬉しそうに笑った。


いつもみんなに向けられている爽やかな笑顔。


その笑顔が、今は私だけに向けられている。


幸せ過ぎて、ドキドキが止まらない。


呼吸の仕方すら、分からなくなりそう。