キミとの距離が、縮まらない。


「次の方ー、お、きたきた。はい、3人ねー」


受付の町田君が、私を見てそう言うと、町田くんは立ち上がって入口を開け「黒田さんいきまーす!」と言った。


「え、名指し?」


山本さんが町田くんを見て尋ねると、町田くんがニカッと笑って言った。


「長谷川から、黒田さんは手加減したいから来たら教えてって言われて。」


「あらー、やさしーぃ」


原口さんがニヤニヤしながら私を見てそう言った。


私はどう反応していいか分からず、頬が熱くなるのを感じながらちょっと俯く。


町田くんが開けてくれた入口から中に入ると、私の後ろでドアがガラガラッと閉まった。


暗幕で真っ暗の教室。わずかに光る小さなランプを頼りに少しずつ歩みを進める。


曲がり角を曲がったところで、白い布を被った大きなものが見えた。


「あれ……何?あんな仕掛けあったっけ…?」


そう言いながら、こわごわその横を通り過ぎる原口さんの後に続いて、私も進んだ。


すると…


急にその白い布が動き出し、私達を追いかけてきた。


「ぎゃーー!」


原口さんが盛大な大声を上げて逃げる後ろを、私も声を失って慌ててついて行くと、後ろから迫ってきた白い布に捕まえられ、布ごと口を塞がれた。