「黒田さん」 長谷川くんが私の名前を呼んだので顔を上げた。 その瞬間にはもう、長谷川くんに抱きしめられていた。 カシャーンと、自転車が倒れた音が響く。 ――え、なにこの状況?どういう… 「…好きだよ。」 「…え?」 どういうこと? わけがわからない。 私達は正反対で、住む世界が違って… だから長谷川くんは、遠い存在の人で。 私たちの距離が縮むことなんて、ないはずなのに。 好きになってもらえる要素なんてないはずなのに。 私を…好き? なんで?