キミとの距離が、縮まらない。


そう言うと先生は、俯いている松本さん達に向かって「おい、お前ら。謝れ」と、ドスの利いた声で言った。


「ごめ…」


「立たんか。」


またも先生の太くて低い声が響く。


松本さん達はみんな、ゆっくり立ち上がると、私の顔を見て謝った。


「ごめん、黒田さん。」
 

「ごめんなさい。」


みんなそう言って頭を下げた。


「…どうだ、黒田。許してやれるか?せっかくだし、何か言いたいことあれば言っていいぞ。」


――言いたいこと…。


私は松本さんに近づいた。


顔を上げた松本さん。じっと見つめると、松本さんも私の顔を見つめた。


チラッと長谷川くんの方を見ると、長谷川くんは私のことをずっと見ていてくれたようで。


『がんばれ』


そう言われている気がして、私は勇気を出して口を開いた。