キミとの距離が、縮まらない。


「しつれーしまーす。」


山本さんが先陣を切って、部屋に入ってくれた。


山本さんと原口さんに続いて、私も部屋に入る。


部屋の中では、腕組みをしている先生を前にして、松本さん達が縮こまって俯いていた。


男子はみんな、顔の所々が赤い。
松本さんの左頬も、それに負けないくらい赤かった。


松本さん達が座っている並びの端っこに、長谷川くんが座っている。


チラッと私が長谷川くんを見ると、目が合った。


長谷川くんは少しホッとしたような表情を浮かべていた。


シン、と静まり返っている中、石橋先生が口火を切る。


「すまんな、黒田。嫌な思いさせたな。」


開口一番、先生が謝るとは思ってなかったので、びっくりして「いえ…」と言いながら、私はふるふると頭を振った。先生はそのまま、話を続けた。


「話はある程度聞いた。黒田に非はない。それは松本達も認めたよ。冗談のつもりだって話だけど、それにしたってやり過ぎだ。」