教室に戻ると、クラスのみんなが廊下に集まって話をしていた。
当事者の松本さん達がいない。
長谷川くんの姿もなかった。
「あ!帰ってきた!」
みんな私を心配そうに見つめてる。
「黒田さん、大丈夫?」
「松本たち、イッシーに連行されてったよ。今頃こってり絞られてるだろーな。」
「みんな、ごめんね。私のせいで、本番前にこんなことに…」
「大丈夫、大丈夫!気にしなくていいよ!」
「松本さん達、みんなの前で頭下げて謝ったから、私達は大丈夫だよ!」
――松本さん達、みんなに謝ったんだ。よかった。
「黒田さん!」
声のした方に目を向けると、クラスメイトの町田くんが私に駆け寄ってきた。
「イッシーが呼んでるから指導室に行って。松本達に謝らせるって。」
「…わかった。」
「うちらついて行こうか?」
山本さんが後ろから声をかけてくれた。
私は振り向いて「ありがとう、お願いします。」と言って、山本さんと原口さんに連れられて指導室に向かった。



