キミとの距離が、縮まらない。


「でもビビッて大号泣してたし、さすがに反省したでしょ。」


「だね。吹っ飛んでいったと言えば、長谷川くんは松本さんと一緒にいた男子全員を吹っ飛ばしてたね。」


「あれは凄かったね!超怒ってた。」


「えぇ!?」


――長谷川くんが怒った…?


いつもの明るい長谷川くんからは想像できない。


原口さんと山本さんは「いい気味」と言ってクスクス笑っていた。


「あ!それより黒田さん着替えなきゃだね。てか、髪の毛にもついてるじゃん!私たちが洗うから、ちょっとかがんで。」


そう言うと、2人で私についたペンキを一緒に落としてくれた。
原口さんはジャージとタオルも貸してくれた。


時間はかなりかかったけど、髪と顔に付いたペンキは、キレイに取れた。ジャージについたペンキは、赤色が殆ど分からないくらいまでになって、とりあえず一安心した。


「ペンキ、取れてよかったねー!」


そう言ってホッとした様子の2人に向かって、私はごめん、と言いかけて思いとどまった。