それと入れ替わるように今度はキュッキュッと病院の床にゴムが擦れるような音とカラコロと硬いものと硬いものがぶつかり合うような音が重なりながら私のいる病室に近付いてきた。

誰だろうと思いベッドから体を起こして手櫛で髪を整える。

「失礼します」

ゆっくりと開けられた引き戸から見えたのはおずおずと遠慮がちに覗く私と同い年くらいの女の子とその後ろでピンと背筋の伸びた着物を着た40代くらいの女性だった。

同い年くらいの女の子は全体的に色素が薄いから、この子が莉心で間違いないだろう。

じゃあ、後ろにいる女性は誰だろう?