今日は土曜日。
いつもなら目が覚めるまで寝るのだけど、今日は芽衣と街で買い物をする約束をしているから早めに起きた。近頃続いている頭痛は日に日に痛みを増している。
頭痛薬を飲んでいるがあまり効果を感じなくなってきている。飲みすぎているのかな。
出かける時間には頭痛は少し収まっていてほっとする。
「いってきます」
返事が返って来ないことにいつもは少し落ち込むけれど、今日は芽衣と遊ぶことが楽しみであまり気にならなかった。

待ち合わせの場所に行くと、もう芽衣は到着してスマホをいじっている。
「おはよう 待たせちゃってごめんね」
「おはよー 今着いたとこだったからへーき
早く行こ!楽しみにしてたんだー」
満面の笑みで私の手を引っ張って走り出す芽衣。
だけどすぐに足が止まる。

何事かと思って芽衣の後ろから顔を覗かせてみると見知らぬ男の子が倒れていた。道行く人たちは彼をじろじろ見るけれど助けようとはせず通り過ぎていく。
「大丈夫?日陰に移動できそう?」
このままではだめだと思って話しかけたけれど、警戒心をむき出しにした目でぎろりと睨まれ思わず後退りしそうになる。
「これ飲みな まだ口つけてないから気にしないで」
芽衣が差し出したスポーツドリンクをぐびぐびと飲み干すと少し顔色が良くなったみたい。
「体調良くなってるといいね」
「そうだね、芽衣いつの間にスポーツドリンク買ってたの?」
あの男の子の話をしながら買い物に戻る。
もうこれで会わないだろう。
年下っぽかったけど、どこの学校の子だろう。
頭痛薬が切れてきたのかまた頭が痛くなってきた。