20××年、○○月△△日。
私、坂口七桜《さかぐちなお》は倒壊するアパートと一緒にぺしゃんこにされて死んだ。
何年も前から世間を騒がせていた首都直下地震がついに発生し、その日熱を出して学校を休んでいた私は逃げ遅れたアパートの中でなす術もなく17年の生涯を終えた。
-重い、痛い、苦しい-
そんな言葉ばかりがぐるぐるして、視界が暗くなる。体もどんどん重たくなっていく。「私、死ぬんだな」直感的にそう思ったとき、体がふっと軽くなる感じがした。
外が明るい。目を開けると、病院独特の白い天井が視界いっぱいに広がっていた。
「助かったんだ」と安心した私はそのまま深い眠りについた。次に目を覚ましたとき、病室の窓は夕日で一面オレンジ色に染まっていた。
ふと視線を自分の体の方へ移す。私の腕は白かった。
日本人の母とインド人の父を持つ私の肌は父に似て黒く、いくら日焼け対策を頑張っても普通の日本人のような白い肌にはなれないはずなのに。
どうして私の肌が白いのか、お父さんとお母さんは無事か、不安と疑問だらけの頭でキョロキョロと辺りを見渡しているとバタバタと足音を響かせながら、お医者さんや看護士さん達が何人も私がいる病室に駆け込んできた。
「目が覚めたんですね『早川』さん」
「どこか痛かったりおかしいなって思うところはない?」
みんな私に向かって口々に話しかけているはずなのに、話しかけているのは私の全く知らない『早川』さんという人。
-違う、私の名字は早川じゃなくて坂口です。病室間違えてませんか?-
そう抗議しようと口を開きかけたとき、頭が割れたと錯覚するほどの痛みと同時に知らない人、風景がどっと私の頭に流れ込んできた。
「はい、大丈夫です」
私、坂口七桜《さかぐちなお》は倒壊するアパートと一緒にぺしゃんこにされて死んだ。
何年も前から世間を騒がせていた首都直下地震がついに発生し、その日熱を出して学校を休んでいた私は逃げ遅れたアパートの中でなす術もなく17年の生涯を終えた。
-重い、痛い、苦しい-
そんな言葉ばかりがぐるぐるして、視界が暗くなる。体もどんどん重たくなっていく。「私、死ぬんだな」直感的にそう思ったとき、体がふっと軽くなる感じがした。
外が明るい。目を開けると、病院独特の白い天井が視界いっぱいに広がっていた。
「助かったんだ」と安心した私はそのまま深い眠りについた。次に目を覚ましたとき、病室の窓は夕日で一面オレンジ色に染まっていた。
ふと視線を自分の体の方へ移す。私の腕は白かった。
日本人の母とインド人の父を持つ私の肌は父に似て黒く、いくら日焼け対策を頑張っても普通の日本人のような白い肌にはなれないはずなのに。
どうして私の肌が白いのか、お父さんとお母さんは無事か、不安と疑問だらけの頭でキョロキョロと辺りを見渡しているとバタバタと足音を響かせながら、お医者さんや看護士さん達が何人も私がいる病室に駆け込んできた。
「目が覚めたんですね『早川』さん」
「どこか痛かったりおかしいなって思うところはない?」
みんな私に向かって口々に話しかけているはずなのに、話しかけているのは私の全く知らない『早川』さんという人。
-違う、私の名字は早川じゃなくて坂口です。病室間違えてませんか?-
そう抗議しようと口を開きかけたとき、頭が割れたと錯覚するほどの痛みと同時に知らない人、風景がどっと私の頭に流れ込んできた。
「はい、大丈夫です」
