今日もまた同じ夢。
あの日から全く変われていない自分に嫌気が差す。
こめかみを押さえながら朝ごはんの支度をし、興味があるわけでもない番組を眺めながら食べる。もしあの日常に戻れるのならと何度考えただろう。もう戻れる訳がないというのに。

髪をくくって制服に着替えて家を出る。
「いってきます」
返事が返ってこないと分かりきっているのに未だにもしかしたら今日こそはと期待してしまう。


ネガティブな事ばかり浮かんでくる頭をぶんぶんと振り、学校までの道を急ぐ。学校に着くとすぐに親友の芽衣が駆け寄って来た。たぶん彼氏と良いことでもあったのだろう、口元がだらしなく緩んでいる。
「おっはよー天音 聞いて聞いて昨日彼氏がさー」
「おはよー芽衣 どうせ惚気だろうと思ったよー いいなー私にも彼氏出来ないかなー?」
ほらやっぱり。
「天音は美人だから絶対彼氏出来るって!
今度合コンあるらしいから一緒に行く?」
「彼氏出来るって聞き飽きたよー それに、彼氏持ちの芽衣は合コン行ったらダメでしょ」
楽しく話していたらもう私の教室の前。
「それじゃまた後でね」
「うん またね」
去年は芽衣と同じクラスだったけど、今年からは分かれてしまった。それでも毎日お昼を一緒に食べてくれる芽衣には感謝しかない。

朝からの頭痛がひどくなってきている。
季節はもう初夏。
夏バテや体育祭の準備で疲れているのかもしれない。