つぼみの初恋。

屋上から出ていこうとする宏光の背中を見つめる。もう私を振り返らない。

バタンと扉が閉まる音がした。

私の長年の片思いに終わりを告げた。

涙腺が決壊した。

私は最初から花梨に劣っていた。
だって私は宏光が花梨のことを好きかもって思ってから宏光より花梨を意識していた。
その時点で私と花梨の差は明確だった。

今までずっと想ってたって意味なんてなかった。

私は宏光を想い行動しなければならなかった。
そんな勇気がなくって今になって焦って行動して失敗して、私は何がしたかったんだろうか。

花梨がどうとか関係なかった。

私が今までの時間を無駄に消費してきたから今日振られたんだ。終わったんだ。

完全な自業自得。

振られればスッキリするんじゃないかと思った。
なのに簡単に消えてくれない。

だってずっと好きだったから。

それぐらい本気で恋していた。

何も成せなかったけれど、想いだけは育て上げてきた。

それでも蕾はまだ開かなかった。

開かずに成長を止めてしまった。

後はこのままゆっくりと枯れていくだけだ。

でもこの涙が栄養になって、いつか綺麗な新しい花を咲かせてくれるはずだから。


またいつか、新しい恋が始まるはずだから。