後夜祭のシンデレラ

「後夜祭とか好きじゃないなら仕方ないね。強制参加じゃないし、無理に参加してほしいとは言わないよ。……じゃあ、ここで少し話さない?」

「えっ、私と湯浅先輩が……ですか?」

「うん。俺たち以外、今はここに誰もいないと思うけど」

 それはそうだけど、この状況に頭が追いつかない。
 私が黙っていると、湯浅先輩のほうから私に少しずつ近づいてきた。
 じわじわと距離を詰められ、私も嫌ならそのまま去ればいいのに、待ってしまう自分もいて……。

(あれ? おかしいな……私、何考えてるんだろう)

 考えていることと行動がちぐはぐになっていて、ついに、湯浅先輩が私の目の前にやって来た。

「さっきの感じだと、そのまま帰られちゃうかなって思ったから……ちょっと予想外だったな」

「……っ」

「後夜祭のシンデレラって企画、知ってる?」

「知らなかったんですけど、友達から聞きました」

 ここは別に嘘を吐く必要もないため、本当のことを話した。