修行開始から二週間が経過した。
 才能があるのか、あるいは要領がいいからかは分からないが、オリアーナの成長ぶりは目覚しいものだった。

 枯れた植物を復活させ、怪我人の治癒も成功させ、神官たちを驚かせた。魔法石を拠り所にしていながらここまで聖女の力を扱えるのはすごいことらしい。
 人間の肉体を回復させられたということは、魔力核の移植も現実的になってきたということだ。

 オリアーナが学院内の廊下を歩いていると、遠くから囁き声が聞こえて来た。

「今日も殿下は麗しいですわ。惚れ惚れしてしまいます」
「本当。なんだか最近、神々しさ増してない?」
「分かります。何かあったのでしょうか。以前にも増してキラキラしているような……」

 噂話をする女子生徒は、そう言って目を擦った。彼女たちの気のせいではない。聖女の修行をしたことで神聖な気配がより強くなったのだ。しかしまだ、肝心な魔力の供給源を、自分の魔力核ではなく魔法石に依存している状態。聖女というには未熟、不完全もいいところだ。

(未熟でもいいから、魔力核の移植だけは成功させないとな……)