出来損ないと嫌悪するオリアーナに家宝を託すほどだから、両親も余程切羽詰まっているのだろう。

 オリアーナはペンダントに触れずに、両親に向かって言った。

「それほど魔法学院卒業の名誉がほしいですか? 今は修学に執着せずに、レイモンドの治療を最優先にすべきでは。彼なら、どの学校に行っても能力を伸ばすことができるでしょう」
「まぁ、なんて生意気な子……」

 母は眉をひそめ、軽蔑するように目を細めた。

「私は始祖五家の一員として、替え玉入学を引き受けることはできません。嘘は必ず露見します。伝統ある家門に泥を塗る真似を私にさせないでください。お考え直しを」

 オリアーナの意見は、至極真っ当だった。しかし母は、眉間に深く皺を刻んだ。

「そんなにレイモンドの足を引っ張りたい? 学院を卒業することは、あの子の将来に欠かせないのよ! 分かるでしょう!?」

 オリアーナは膝の上で拳を握った。