短い金髪がなびく凛とした横顔を、野次馬の少女たちが顔を赤くしながら見ていた。オリアーナの美貌は幼いながら完成されていて、誰彼構わず魅了する。

「あなたどこの子? あたしたちの仲間に入れてあげる!」
「どこで体術を勉強したの? 強くて格好よくて、王子様みたいだった!」
「はは、ありがとう。でも、ごめん。いじめを傍観しているような薄情な人たちの仲間になる気はないかな」

 にべもなくばっさり斬り捨てるオリアーナ。

「なっ……何よ、せっかく誘ってやってんのに、生意気……!」
「もう行こうよ、こんな人たちほっといてさ!」

 オリアーナにすっかり執心していた少女たちは、はっきりと拒絶されて顔をしかめた。いじめていた少年とともに、悔しそうにその場を去っていった。

(リアは格好いいな……俺なんかよりずっと。ヒーローみたい)

 清廉で実直。曲がったことを嫌い、物怖じせずに思ったことを言う。セナにはそんな度胸はない。オリアーナはいじめっ子たちの背中を見送ると、こちらを振り返って、へたり込んでいるセナに手を差し伸べた。

「もう大丈夫だよ。――セナ」

 そう言ってはにかんだ彼女に、心臓がどくんと音を立てた。訳も分からないまま脈動が加速していく。
 この瞬間、セナは彼女に恋に落ちた。