「見ていましたか……? 姉さん」

 苦しい戦闘のあととは思えない爽やかな表情。年相応の笑顔で、額の汗を拭いながら尋ねてくる彼。姉に褒めてほしいのだという弟心が伝わってくる。

「うん、うん……見てたよ。すごかった。君は自慢の弟だ」
「わっ姉さん……!」

 オリアーナはレイモンドに抱きついた。彼が助けに来てくれたこと、昔のように魔法が使えるほど回復してくれたこと、笑ってくれたこと。何もかもが嬉しくて、言葉にならない。

「助かったわ。今回はマジでやばかった」
「全く。僕より強くなってくれないと、安心して姉さんを渡せませんね」
「はは。ハードル高いな」

 セナとレイモンドがオリアーナの肩越しにそんな会話をする。

「で? どうしてこの事態に気づいたんだ?」

 するとレイモンドは、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。オリアーナが「どうしたの?」と聞くと、彼はバツが悪そうに答えた。