颯爽と現れたレイモンドは、白く光沢のある杖を掲げて呪文を唱えた。目を開けていられないほどの眩い光に幻獣たちは目を眇め、数歩後退する。レイモンドはこちらに背を向けたまま言った。

「ひどい有様ですね、セナ。この程度の相手に引けを取るなど、まだまだ鍛錬が足りないのでは」
「手厳しいな……。これでも俺、相当頑張ったんだけど」
「少し後ろに下がっていてください」
「君一人で大丈夫なの?」
「世迷言を。――僕を誰だと思っているんですか」

 彼はそう、始祖五家アーネル公爵家始まって以来の逸材だ。彼は襲いかかってくる幻獣たちを次々と薙ぎ払っていく。

 セナとオリアーナが重い体を引きずるように後ろに下がると、レイモンドは上位魔法を発動させて幻獣を圧倒した。