美人爆命!?異世界に行ってもやっぱりモテてます。

「待て、この野郎!」

「ぶち殺してやる!」

男達はしつこく追いかけてくる。
酔ってるはずなのに、足も速い。



「こっちだ。」

「えっ!?」

腕を捕まれ、大木の影に引き込まれた。
大男達はわめきながら、木の傍を走り去って行った。



「もう大丈夫だ。」

「あ、ありがとうござ…」

私は、急に口ごもってしまった。
薄明かりに浮かぶその男性は、背中が曲がって大きく盛り上がり、とても不気味な顔をしていたから。



「あのライガー兄弟は、酒癖が悪いんだ。
あいつらが酔ってる時に近付いたら、下手したら殺されるぞ。」

「そ、そうなんですか。」

人を見かけで判断してはいけない。
現にこの人は、危ないところを助けてくれた良い人だ。



「……もしかして、道に迷ったのか?」

「は、はい、そうなんです。」

「そうか、それなら悪いことは言わない。明日の朝早くこの町を出た方が良い。
ここはならず者の町と呼ばれる町で、こんなところにいたら、いつどうなるかわからない。
夜が明けるまでは、うちに来たら良い。」

「えっ!い、良いんですか?」

「あぁ、そのくらい構わない。」

やっぱり良い人だ。
見かけで判断してごめんなさい。
心の中で詫びながら、私はせむし男の後に着いて行った。