2014年 春
Side 愛華

 
来年の今頃、私は笑っているのか泣いているのか——。


無事に大学生になれるのかなれないのか——。


新学期を目前に控えた春休み。


これから経験する全てのことが〝高校生活最後の○○〟になる。


私は将来特別やりたいことも、なりたいものもなかった。


周りに合わせてなんとなく進学するくらいなら働いた方がいいんじゃないかと思って、それをおじいちゃんに話したことがある。


でも「それならなおさら進学をしなさい」というのがおじいちゃんの考えだった。


幸い勉強は嫌いじゃないし、とりあえず興味のある学部を狙って受験させてもらうことにした。


今考えているのは、考古学を学べる学部。


私は歴史が好きだったから、せっかく4年間という時間を貰えるのならこれしかないと確信した。


ところが、考古学を学べる大学は意外と限られているため、もしかすると家を出て一人暮らしになる可能性も高い。


正直この賑やかな環境に慣れすぎていて、家を出るのは寂しかった。


——もしお願いすれば紺炉も付いてきてくれたりしないかな……?


そんなことも考えながら毎日机に向かっていた。


「愛華。本格的に忙しくなる前に、少し羽を伸ばしに行かないか?」


なんとおじいちゃんが家族みんなで温泉慰安旅行に行く計画を立てていたのだ。