Side 東雲


「2人の間を揺さぶってくれって頼みだったのに、むしろアシストしちゃったよ。五十嵐のじいさん怒るかな?」


匠は車窓の外に映る東京の夜景を見ながら、運転席に向かって話しかけた。


「何言ってるんですか。初めから真面目に引き受けるつもりなんてなかったでしょう?」


さすが僕の世話係。


よく分かっている。


「まぁね。だってさ、お姫様と家来が結ばれるなんて夢があると思うだろ?要には幸せになって欲しいんだよね。僕アイツのこと結構好きだからさ」


何もできずに自分の気持ちを心の底に沈めている僕とは違う。


そんな要が羨ましくて、眩しくて、応援せずにはいられないのだ——。