2013年 夏
Side 愛華


「じゃじゃーん!見てください、俺商店街の福引で当てちゃいました!」


犬飼がドタドタと足音を立て、慌ただしく帰ってきた。


走るなと注意をした相模をガン無視して私に見せてきたのはプールのチケット。


実はここ最近私は毎日のように「プールに行きたい」とぼやいていた。


犬飼はそれを知っていたからこうして一番に知らせに来てくれたんだろう。


「犬飼すごーーい!行けるの?私行けるの!?」


「ペアチケットなんで、あともう1人行けますよ!」


私を含め、その場にいた全員が紺炉の方を向いた。


「俺はパース。何度も言うけど人混み無理なんだって」


そうだろうなとは思った。


でも今回は犬飼の運で掴み取ったチケットだから、私としては犬飼と一緒に行かせてもらうつもりだったから問題ない。


むしろ紺炉が行くとなれば逆に犬飼が行けなくなってしまう。



私が行かないって選択肢もあるか・・・?


紺炉と犬飼が水着を着てはしゃいでる様子を想像したら笑いが止まらない。


系統は違うけど無駄に顔がいい2人が、半裸で仲睦まじくしているのは結構刺激が強い。


変な想像をしている間に、犬飼と紺炉が何やらヒソヒソと紺炉に話している。


「でも要さん、お嬢に変な虫がつかないように見張らなくていいんですか?」


「ならお前が行けばいいだろ」


「だって俺水嫌いですもん。要さんが断ったら相模さんにお願いするしかなくなりますけど、まさか組長付きの相模さんにお嬢のプールのお守りをさせるんですか?」


ドヤ顔の犬飼と悔しそうな紺炉。事情はわからないが、どうやら話はまとまったらしい。


「ということで、楽しんできてくださいねお嬢!」


なんだか楽しい夏休みになりそうだ。