2014年 春 現在
Side 愛華


もう時計は23時を回っている。


みんなが寝静まったのを確認して、私はこっそり縁側に出た。


夜風がなんとも心地良い。


まん丸の月が池に映ってユラユラと揺れている、穏やかな夜だった。


なんだか今日は紺炉との思い出に浸った1日だった。


長かったようであっという間だったこの17年間は、楽しいことばかりではなかった。


その中でもあれは、いま思い出しても体が震える出来事だった———。