白い菫が紫色に染まる時

しかし、スコップの扱い方がとても下手だ。
雪かきをすると提案した蓮くんの方はどんな感じだろうと見てみると、彼も下手だった。
雪かきをするのに、上手い・下手があるのかと疑問に思う人もいそうだが、私は小さい頃から毎年、雪かきをさせられてきたし、周りの人たちが雪かきをしているのを見てきたので、その人達と二人の力の使い方が違うのはわかる。
雪国で育った人とそうでない人でこうも違うものなのかと驚いた。

「二人とも、雪かきが下手だな~」
「下手??」
「うん。そんなんじゃ腰痛めるよ。もっと、こうさ、てこの原理を使ってさ・・・」

近くにいた蓮くんのスコップを使って見本を見せた。
そして、それを真似て蓮くんももう一度雪をスコップですくい上げた。

「あ、確かに、楽かも」
「でしょ?」
私は蓮くんの反応を見て、満足気にほほ笑んだ。
「さすが雪国育ちだな」
「いや・・・、」

その様子を見ていた楓さんに指摘されて、なぜか私は複雑な気持ちになった。
あの場所からいくら離れても、簡単に私自身は変われていないと言われているようで、複雑だった。
あの場所で過ごした時間を忘れようとしても、結局無意識に思い出している自分がいることにも気づいた。

そして、雪かきを終えた私たちは桃李さんの家でお雑煮をご馳走になり、遅めの正月らしい正月を過ごした。
桃李さんの作ったお雑煮のおかげで、身体の芯から温まり、すっかり私の体力は回復していた。
なんだかんだ雑煮を食べていたら、いつのまにか日が暮れてきたので私たちはそれぞれの家に帰ることにした。

お邪魔しましたと言って、外に出たが私は今日の朝からずっと心の奥に残っていたもやもやのようなものを消化しきれていないことが気がかりだった。そのもやもやした物はお雑煮を食べてお腹がいっぱいになった後でも消えそうにない。

何か足りないのだ。何かが・・・・・。

その心の奥に突っかかったものの正体がいったい何なのか結局わからないまま、私は自分の家に帰った。
そして、若干、雪で濡れてしまった衣服を乾かそうと巻いていた白いマフラーをハンガーにかけた時、先ほどから考えていたその突っかかったものの正体がわかった。