白い菫が紫色に染まる時

相変わらず、面倒見が良い兄だと思う。
私は双子の弟の雪哉と雪成に会うのも久しぶりだった。
この会わなかった二年間でだいぶ身長が伸びている。
ちょうど成長期真っ盛りなのだろう。

「ところで、私たちのことを招集して、日向たち引き連れて、何するつもりなの?」
「そう。今日は、みんなで雪合戦をしようと思って」
「え、雪合戦?」

あまりにも予想外のことで驚いた。

私は寒いのが小さい頃から、苦手だったからだ。
そのため、ここら辺に住む人達には定番の遊びであるスキーも雪遊びも自分から好んでやったことはない。
運動が苦手というわけでもないし、嫌いなわけでもない。
むしろ、体を動かすことは好きだ。

しかし、私は寒さに耐えられず、手が凍え始め、一時間も経たたないうちに休憩したくなってしまう。
だから、誰かと雪で遊ぶことは避けていた。
遊んでいる途中に自分だけ「休みたい」などと言ったら、友人に気を遣わせることになる。
だから、クラスメイトと雪遊びをあまりしたことはない。

陽翔は今日のことを事前に知っていたようだし、白澄の言葉に声を出して驚いたのは私だけだった。
白澄の横にいる双子は「雪合戦だ~!!」と声をあげて喜んでいる。

「ここ最近、急に大雪になって、雪が積もっただろ。それで、こいつらが雪合戦をやりたいって言い始めたんだけど、俺一人じゃ手に負えないから二人も誘おうと思って」

確かに、有り余る体力を持つ小学生男子二人と中学生女子の雪合戦の相手を、吹雪が吹いたら呆気なく倒れてしまいそうな美術部高校生男子がするのは体力的に厳しいかもしれない。

「なるほどね。つまり、私たちに手伝ってほしいってことね」
「まあ、そういうこと」

彼は微笑みながら頷く。

「じゃあ、その代わりに今度何か奢ってね」
「しょうがないな。わかったよ」
「冗談だよ。私も久しぶりに日向たちと遊べるの嬉しいし」

私は、密かに、久しぶりの雪合戦にワクワクしていた。
いつものように寒さに耐えられないかもしれないけれど。
それでも、楽しみだった。

「よし。そうと決まったら行くか!」と意気込んで陽翔が先頭を歩き始めたが、彼は行き先をわかっているのだろうか。