白い菫が紫色に染まる時

「まあ、いいや。どうぞどうぞ、入って」
「お邪魔します」

そう言って私と蓮くんは家に入った。
間取りは私と全く同じだった。
もっと散らかっているのかと思っていたが、意外に綺麗な部屋だった。
というよりも、私と同じ部屋のはずなのに、高級感がある。

そして、一番に目に入るのが机に置かれているパソコンだ。
プログラミングをする人かゲーマーしか持っていないような画面がいくつもあるパソコンが置かれている。

「これ、すごいですね。マイクロソフトですか」
「そうそう!!わかる?」

私が遠目で見ていたパソコンで二人が盛り上がり始めた。
私は機械に関する知識を持っていないけれど、彼らのテンションから良い機種なのだろうということだけはわかった。
盛り上がっている二人の邪魔をするのも悪いし、勝手にどこに座ればいいのかもわからないので、私は部屋の端にあった本棚を眺めることにした。
本棚は建築についての書籍ばかりだった。本当に好きなことが本棚から伝わってくる。

「ごめん、ごめん。つい夢中になって語りすぎた」

そして、楓さんは「本題に入ろう」と言って奥から、大きな段ボールを持ってきた。
とても、重たそうだ。部屋の真ん中まで持ってきてその段ボールを置いた。
置いた瞬間ドシッという音が聞こえたような気がした。

「何ですか?これ」
「やるよ。これ。ついでだし、白澄もほしかったら何か持っていっていいぜ」

何が入っているのだろう。私は不思議に思いながら段ボールの中身を確認すると、中には大量の食材が入っていた。

「これ、貰っていいんですか?」

段ボールに張ってあった発送主の名前を見ると、苗字が楓さんと同じだった。
きっと、彼の実家から送られてきたものなのではないだろうか。

「こんなに貰うなんて申し訳ないですよ」
「いや、いいよ。お前、今月金欠だって言ってただろ」

正直な所、喉から手が出るほど、欲しい。
しかし、同情から親切にされるのは好きではない。
誰かにそういう感情で施されるのは、自分の立場が惨めな状態だということを認めるようで嫌だ。

「言っとくけどお前が可哀想だからとかじゃねえよ。こんなに食材だけ送られてきても、自分で料理しきれないし。無駄になるなら、誰かにあげたほうがいいだろ」

確かに、食材が使われずに捨てられるのは勿体ない。

「でも、これ実家から送られてきたものなのにいいんですか?親御さんに悪いんじゃ」