白い菫が紫色に染まる時

「前期の授業で発表グループが同じだったんですよ。それで、そこまで親しくはないけど顔は知っている感じで。でも、まさか同じアパートに住んでいたなんて・・・。びっくりです」

私が一人頭の中で迷っている間に、蓮さんがすらすらと嘘を答えていた。

「へえ~。そうなんだ」

楓さんの反応は、思っていたより薄かった。
そこまで、興味があったわけでもなかったようだ。
何と返事をすべきか、そこまで気にしなくて良かったのかもしれない。

「まあ、いいわ。とりあえず、これで友人とまで言わないけど、みんな知り合いになったわけだし。ラインでも交換しとくか。一人暮らし同士、お互い困った時は助け合おう」

そう言って、私以外の二人はスマホをポケットから取り出した。
私も、スマホを取り出そうとしたが、手元にないことにそこで初めて気づいた。
昨日の帰り道に壊した後、家に置いたままだったのだ。
というよりも、今日は携帯ショップに行く予定だったという大切なことを今思い出した。

「あの、私携帯なくて・・・・」
「菫ちゃん~。俺らと連絡先交換したくないからって、その嘘はバレバレだよ」

楓さんが携帯を持っていないということに対して、疑い始めた。

「嘘じゃないです。本当ですよ。昨日コンクリートの地面に落として、壊れたんです」

勘違いされたままでは嫌だったので、私は必死に弁解していた。

「じゃあ、今度交換しましょう。正直、僕たちいつでも会おうと思えば、一分も経たないうちに会いに行けるわけですし」

そんな会話をしていた時、ドアが開く音が聞こえた。

「ただいま」

桃李さんが戻ってきたようだ。「おかえりなさい」と言葉を返す。

「配管工事、無事に終わったみたいだから、もう大丈夫だよ」
「そうですか・・・・。良かったです。ありがとうございます」

私は会話している三人をよそに、小皿と箸とポン酢を用意する。

「桃李さんもお腹空きましたよね。一緒に食べましょう。ちなみに、このそうめんは蓮くんの実家から送られてきたものです」
「おお、ありがとう。嬉しいよ」

私はまた席に着き、そうめんを食べ始めた。

「とりあえず、エアコンも直ったし。これで無事に夏を迎えられるな」
「そうですね。こっちの夏は暑いんですか?」

やっぱり、こっちの夏はエアコンが必須なほど暑いのだろうか。

「こっちって?」